ノルトロックワッシャーは通常の平ワッシャーより外径が小さいため、大きい穴に設置したい場合はノルトロックワッシャーSPシリーズの方が適している場合もございます。また、ノルトロックワッシャーはサイズが豊富で、特殊鋼での納品も可能です。

ねじ新聞vol.23 軸力を利用する緩み止め ノルトロックワッシャー

軸力を利用する世界初の緩み止め ノルトロックワッシャー

スウェーデンのノルトロック社が開発した緩み止め座金・ノルトロックワッシャー。通常、ねじの緩み止めには摩擦力を用いますが、ノルトロックワッシャーでは軸力を利用してネジのゆるみを物理的に防ぎます。ノルトロックワッシャーは世界で初めてゆるみ止めに軸力を利用した、画期的な商品です。

 

ノルトロックワッシャーのウェッジロック技術

ノルトロックワッシャーは2枚で1組となっており、それぞれのワッシャーの片面にはクサビ状のカム(ギザギザが大きい)、もう片方の側面には放射状のリブ(ギザギザが小さい)が施されています。ポイントは、締結時に2枚のワッシャーのカム面同士を内側に重ね合わせること。

締結後、ねじに振動などが加わると、細かいギザギザを施した外側のリブ面がボルトやナット、被締結材をしっかりと固定します。そのため振動はカム面へと伝わり、2枚のワッシャーはカムの間がスライドするよう動きます。

下の図を見てください。

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このとき、ワッシャーのカム角αがネジのリード角βより大きく設計されているため、振動によりネジがリード角βで回ろうとしてもノルトロックワッシャーのカム角αを乗り越えることはできず、カムの部分でつっかえるという現象が起きます。

このような構造をウェッジロッキング機構と呼び、セルフロック効果のあるウェッジロッキング機構では物理的・機械的にねじの回転ゆるみを防止することができます。

 

摩擦に依存しないため、ノルトロックワッシャーは常に激しい振動に晒される環境でも高い緩み止め効果を発揮します。また、温度変化の激しい環境や、衝突など強い負荷がかかる環境などでもご使用いただけます。

 

ノルトロックワッシャーの特長

ノルトロックワッシャーを使用することによるメリットには以下のものが挙げられます。

・回転緩みを起こさない

上述のウェッジロッキング構造により、回転緩みを物理的に防止します。振動や衝撃による緩みに強いのが特長です。

・特別な工具が不要

ノルトロックワッシャーの取り付け・取り外しは通常の平ワッシャーと同じです。ボルトに組み込んだら締め付けるだけ。一般的な工具だけで作業を行っていただけます。

・潤滑油の使用OK

ねじのゆるみを物理的に防止するため、潤滑油の使用に影響されません。

・再利用OK

無限にではありませんが、再利用することが可能です。

 

ノルトロックワッシャーの使い方

・タップ穴に取り付ける場合

ボルトとナット、被締結材の間に設置してください。

・座繰り穴に取り付ける場合

ワッシャー外径がボルト頭より大きい場合がありますので、事前に寸法をご確認ください。ノルトロックワッシャーはDIN974規格の座繰り穴径に合わせて設計しています。

・貫通穴に取り付ける場合

ボルト側とナット側、両方にノルトロックワッシャーを取り付けてください。貫通穴に取り付ける場合は2組のノルトロックワッシャーが必要です。

・スタッドボルトに取り付ける場合

接着剤は不要です。

 

ノルトロックワッシャー使用の注意点

・平ワッシャーやスプリングワッシャーとの併用不可

ノルトロックワッシャーのリブ面は、ボルトとナット、被締結材に食い込む必要があります。そのため、平ワッシャーやスプリングワッシャーとの併用はできません。

・被締結材の硬度に注意

被締結材がノルトロックワッシャーよりも硬い場合、ノルトロックワッシャーが非締結材に食い込むことができないため緩み止め効果を発揮できない可能性があります。また、被締結材が柔らかすぎる場合も、ノルトロックワッシャーが食い込む際に非締結材を損なうため注意が必要です。

 

ノルトロックワッシャーは通常の平ワッシャーより外径が小さいため、大きい穴に設置したい場合はノルトロックワッシャーSPシリーズの方が適している場合もございます。また、ノルトロックワッシャーはサイズが豊富で、特殊鋼での納品も可能です。

 

 

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