鋼製ボルトの強度区分
鋼製ボルトの強度区分
鋼製ボルトの頭部を見てみると、「10.9」「8.8」などの数字が刻印されている場合があります。この数字がボルトの強度を表しています。
JIS規格では、次の10種類の強度区分が定められています。
3.6/4.6/4.8/5.6/5.8/6.8/8.8/9.8/10.9/12.9
ピリオドの左の数字が「呼び引張強さ(N/㎟)」を表し、右の数字が「最小引張強さ(N/㎟)」を表しています。
鋼製ボルトの強度を決める、呼び引張強さとは?
上下、あるいは左右に鋼材を引っ張っていくと、最終的には破断します。その破断に到るまでの最大の応力を、鋼材の断面積で割った値が「呼び引張強さ」です。
つまり引張強さとは、ある鋼材がもつ引張力に対抗する最大の強度と言うことができます。
最小引張強さ
鋼材は引っ張られると伸びますが、力を除くと元に戻ります。ところが引張力がある時点を越えると、元に戻らなくなります。この強さを「降伏荷重」または「耐力」といい、耐えられる強さのことを「最小引張強さ」と呼びます。
具体的な強度の見方
ここでは強度「10.9」を例に挙げて説明します。
ピリオドの左側「10」は、呼び引張強さ1000N/㎟を表します。分かりやすく言うと、「約100キロまでは切れない」と言うことです。
左側の「9」は、呼び引張強さの90%つまり「900 N/㎟までは伸びてもまた元に戻る」という強さを表しています。
強度区分による用途例
JIS規格には10種類の強度区分が定められていますが、よく使われる強度区分は「12.9」「10.9」「8.8」「4.8」の4種類になります。
左側の数字が小さくなるほど強度は低くなりますが、一般的な六角ボルトは強度「4.8」とされています。
「8.8」は8マーク六角ボルトや高力六角ボルト、「10.9」は六角穴付きボルトや高力六角ボルト、「12.9」は六角穴付ボルトや一部の高力六角ボルトなどに使われています。