緩み止め対策とその製品について
なぜ緩み止め対策は必要なのか?
「ねじの緩み」のページでも説明しましたが、性質上、ねじが緩むのは当たり前のことであり、避けられるものではありません。ねじの緩みによる事故を防ぐためには、定期的な保守点検が欠かせないのです。しかし、保守点検には人材と費用の面で大きなコストがかかります。そのため緩み止め対策は、ネジ部品にとって重要な課題となっています。
緩み止め対策その1:座金
緩み止めとして広く使われているのが座金(ワッシャー)です。通常、座金はネジ部品より大きく設計されるため、座金を使うと被締結材との接地面積が大きくなります。被締結材への面圧を小さくすることで、緩みの原因となる陥没を防ぐことができるのです。
また、座金の中でもスプリングワッシャー(ばね座金)には、バネの反動力を利用して、ねじを緩みにくくする働きがあります。しかし、現在では、緩み止め対策として座金だけを使用するケースはほとんどありません。
緩み止めを目的に、各メーカーが様々な製品を開発していますので、ここでは代表的な製品をいくつか紹介いたします。
緩み止め対策2:緩み止めナット_ハードロックナット
今や緩み止めの代名詞とも言えるのが、日本が誇るハードロックナットです。東大阪市のハードロック工業が発明したハードロックナットは、日本古来のくさびの技術を応用したもの。ナットを凸ナットと凹ナットの2つに分け、それぞれにくさびとハンマーの役割を持たせています。凸ナットを偏芯構造にすることでくさびを作り、これをボルトと凹ナットの間にねじ込むのです。くさびの原理を利用して、ボルトとナットを完全に密着させることで、強力な緩み止め効果を実現しています。
ハードロックナットに対する信頼性は高く、東京スカイツリーや新幹線のほか、アメリカではスペースシャトルの発射台に使われるなど、「絶対に緩まないナット」として世界各国で使われています。
緩み止め対策3:緩み止めナット_U_ナット
ボルト・ナットの緩み対策におけるパイオニア的存在で、半世紀以上に渡り使い続けられています。Uナットはナット本体にフリクションリングを固定したもので、締結時にはナット上部のフリクションリングがボルトのネジ山に接地します。さらにスパナなどで締め付けるとフリクションリングがたわみ、バネ作用による応力が発生。このフリクションリングの弾性により生じる力と、それと逆方向に働く雄ねじフランク面を押す力が摩擦トルク(プリベリングトルク)となり、ネジの自由回動を防ぐという仕組みです。
安定的な緩み止め効果が得られるほか、被締結材が軟質でも対応可能。締め付け作業が簡単で作業性が良いことも特長です。
緩み止め対策4:緩み止め座金_ノルトロックワッシャー
ノルトロック社のノルトロックワッシャーは、摩擦ではなく張力を利用し、ボルトの緩みを物理的に防止します。ノルトロックはギザギザが大きいカム面と、ギザギザが細かいリブ面をもつ2枚組のワッシャーで構成され、使用時にはカム面同士を内側に向かい合わせて締結します。
締結後に振動などが加わると、外側のリブ面がボルトと被締結材をがっちりと固定するため、2枚のカムの間がスライドするよう動きます。しかし、ネジのリード角よりもカム角度を大きく設計しているため、振動によりネジ部品が動いてもカム角度を乗り越えることはできず、ねじが緩むことはないのです。
このほかペタルファスナーやハイパーロードスプリングなど、ボルトやナットの緩み&脱落を防止する製品も人気です。
詳しくはぜひお問い合わせくださいませ。
「ペタルファスナー」のページはこちらから