大航海時代を影で支えたねじ
ヨーロッパから世界へ!大航海時代の始まり
15〜16世紀にかけて、スペインやポルトガルを中心とするヨーロッパ各国は、地球規模の航海や探検を行います。様々な航路や未知の土地を発見した、いわゆる大航海時代です。
インド航路を発見したバスコダ・ガマ、アメリカ新大陸に到達したコロンブス、そして世界周航を成功させたマゼランなど、大航海時代には様々な英雄が活躍しました。
この時代の航海で使われていたのは、羅針盤やアストロラーベなど。アストロラーベとは、紀元前に発明された天体観測器のことで、古代の天文学者や占星術師たちが利用していたとされています。
アストロラーベで緯度を測り、羅針盤で方位を知り、船の進路を決めていたのです。
アストロラーベから六分儀へ
18世紀になると、アストロラーベに代わる測定機器として、六分儀が登場します。六分儀では、地平線と天体の角度と、その観測時刻により観測点の経度や緯度を求め、海図上の位置を推定することができました。
六分儀は水平線を基準に天体を測定することで、精度の向上を可能にしたのです。観測点が動いても、水平線と天体の位置は安定しているため、航海中の船での利用に重宝がられました。
レーダーやGPSなどを必要としない六分儀は、もしもの時に備える測定器として、現在でも船舶の法定備品として設置されています。
六分儀を支える、高精度なねじ
高精度な六分儀に欠かせないのが、目盛り刻印機と呼ばれるものです。そして、この目盛り刻印機の改良に尽力したのが、ジェシー・ラムスデンでした。
ラムスデンといえば、ねじの精密化に取り組んだ人物。ラムスデンの精密な目盛り刻印機は、彼が製造した高精度のねじによるものだったのです。
遠洋航海に直接影響を与えたのは六分儀ですが、その六分儀には目盛り刻印機が必要であり、その目盛り刻印機の製造にはねじの存在がありました。
目立たないけれど、重要。これこそが、ねじを「産業の塩」と呼ぶ所以でしょうか。
ラムスデンのねじは、18世紀以降の航海に多大なる影響を与えたのです。